ミカとの出逢い
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【ミカ】
「きゃあぁああああっっっ!!!!」 |
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【悟】
「な、なんだっ!?」 |
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あわてて振り仰ぐと、満月をバックになにかの影が躍りかかってくるところで……。 |
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【悟】
「うわぁあああっ!?」 |
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【ミカ】
「ひゃあぁああっ!!!」 |
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学園へ登校風景
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【澄佳】
「うわあぁ……」 |
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【悟】
「ん?」 |
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【澄佳】
「綺麗だね、桜」 |
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【悟】
「あぁ……」 |
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一昨日ミカを捜して走り回ったときは、夜だったこともあり気がつかなかった。 |
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【悟】
「満開だったんだ。知らなかった」 |
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【澄佳】
「学校の行き帰りくらいにしか、ここ、通らないもんね」 |
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【悟】
「ああ」 |
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【佐奈】
「始業式の日に桜か……ほんと、綺麗」 |
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俺たちにとってこの土手は通学路だ。 |
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はっきりいって遠回りなのだが、景色が良いからと、いつの間にか習慣になっていた。 |
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朝ご飯を作る佐奈
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【悟】
「おはよう」 |
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【佐奈】
「あれぇ? 珍しい。起こされる前に起きるなんて」 |
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【悟】
「今朝は眠りが浅かったらしくて」 |
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【佐奈】
「またゲームのやり過ぎでしょ。寝る前に光や音の刺激を受けるの、ほんとはよくないんだからね」 |
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【悟】
「いやそうじゃなくて。ミカだよ」 |
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【佐奈】
「え?」 |
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【悟】
「結局どうするのかなって」 |
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【佐奈】
「あぁ……」 |
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【佐奈】
「…………」 |
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【佐奈】
「結構……アニキ、ミカさんのこと気にしてるみたいだね?」 |
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【悟】
「まあな。放っておくと天に召されるわけだから……気にはなる」 |
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【佐奈】
「それだけ?」 |
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【悟】
「うん?」 |
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【佐奈】
「なんでもない」 |
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学園のマドンナ美鶴
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【澄佳】
「あ、美鶴先輩だ」 |
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【悟】
「え、知り合い?」 |
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【澄佳】
「あれ? 知らないの? 周防美鶴先輩」 |
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【悟】
「初耳だけど……」 |
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【佐奈】
「アニキってほんとゲームにしか興味ないから。今朝もさ、本校の制服が記憶にないって」 |
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【澄佳】
「あはは……」 |
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【悟】
「学園のアイドルとかいった? そんな有名なの?」 |
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【佐奈】
「アイドルはちょっと違うかな? マドンナの方があってる?」 |
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【悟】
「いやそれはどっちでもいいから」 |
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【佐奈】
「有名だって。ていうか、知らないのアニキくらいじゃない、ほんと」 |
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【悟】
「へえ……有名な理由は? 金持ちだから?」 |
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見るからにそんな印象がある。 |
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まず車。俺は自動車などにはうといが、あれは高級車と見てまず間違いない。 |
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そしてなにより驚きなのが、脇に控える執事風のおじさんだ。 |
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いったいどこの世界に執事を連れて登校してくるお嬢様がいるというのだろうか。 |
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【澄佳】
「お金というよりは、美鶴先輩、ウチの理事長のお孫さんだから」 |
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【悟】
「あ、そうなんだ……」 |
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【佐奈】
「それに美人だし。……うーん、やっぱり美鶴先輩はマドンナって感じかなぁアイドルより」 |
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そろって見物しているうちに、美鶴先輩はしゃなりしゃなりと校門の内側に消えていった。 |
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恋愛相談をするルキア
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【ルキア】
「あなた。遠慮しないでいらしたらどう?」 |
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【悟】
「えっ。……あ、俺……?」 |
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ぐんぐんに見つめていたのを勘違いされてしまったらしい。 |
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【悟】
「いや俺は……」 |
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【ルキア】
「あなた、それ、祖父地図の袋?」 |
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【悟】
「えっ?」 |
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【ルキア】
「ということは、中身はエロゲーね? そうでしょう」 |
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【悟】
「…………」 |
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この女よく知ってるな。 |
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というか、衆人環視の中、人の趣味を喝破しないで欲しいような気もする。 |
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【ルキア】
「ふふ、わかりますよ。そういうこと、勉強しましたからね」 |
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【悟】
「はぁ……」 |
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【ルキア】
「そういうゲームをやる理由はただ一つ。……現実で女子に相手にされないから、ですね?」 |
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【悟】
「しっ、失礼なっ! そういう理由じゃないんです!!」 |
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【ルキア】
「え?」 |
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【悟】
「好きだからだよ! 俺はっ。むしろっ。現実よりこっちの方が好きだ!」 |
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ラヴァージュでバイトをする梓
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【梓】
「いらっしゃいませー。お客様、お一人でしょうか?」 |
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【悟】
「あ、えっと、俺、いや僕は──」 |
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【梓】
「あれっ?」 |
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という驚きの声は二人同時だった。 |
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【悟】
「志木……」 |
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【梓】
「遠海くんじゃん。なんだ、一人でもラヴァージュに通ってるんだ?」 |
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【悟】
「え、いや、その……」 |
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【梓】
「君もこういうの好きなの?」 |
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といって彼女は自分の体を見下ろした。 |
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【梓】
「コスプレ? っていうんだっけ? これが人気らしいからね」 |
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【悟】
「いや、俺もバイトなんだよ。今日から」 |
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【梓】
「あっ、そーだったんだ」 |
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